平成27年4月1日(水)に、白山市松任文化会館において、平成27年度 金城大学第16回入学式が挙行されました。
式典では、新入生代表として看護学部の佐藤星名さんが、今後の大学生活への抱負を述べました。
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遠く名峰“越のしろやま(白山)”を擁するここ白山市の松任文化会館に参集された335名の新入生の皆様、金城大学への御入学、誠におめでとうございます。教職員一同とともに、待望の北陸新幹線の開通が花を添える形で、ここに入学式を開催できますことを心より祝福させて頂きます。
また、本日はご多忙の中ご臨席を賜りました山田白山市長、西川白山市議会議長をはじめ各御来賓の皆様に厚くお礼を申し上げますとともに、約半月前に開業いたしました北陸新幹線による白山市の今後一層のご発展を心よりご祈念申し上げます。
また、これまで新入生の皆様を支えてこられましたご家族の皆様のご努力に対しましても、改めて敬意の念を表させていただきます。明治37年、日露戦争開戦の年に創設されました歴史ある「金城遊学館」を母体とするこの金城大学で、今後4年間、皆様と共にキャンパス生活を送れますことを、私はじめ教職員一同、今から非常に楽しみにしております。
さて、皆様のなかにはこれからの4年間、社会福祉学部、医療健康学部、および新設されました看護学部で学ぶ“福祉や医療,’について今まであまり関わりがなく、将来の大きな夢とともに一抹の不安を持たれている方も多いと思います。そこで、皆様の不安を払拭するためにも、わが国における今後の福祉・医療の展望について簡単にお話をさせていただきます。
現在わが国は“急速な少子高齢化”という世界にも例のない大きな課題を抱えております。お元気な高齢者の方が増えることは誠に喜ばしいことなのですが、介護保険の使用率は、75~80歳では約10人に1人、80~85歳では4~5人に1人なのに対し、85歳以上では2人に1人と高齢者ほど著明に増加しております。そして国の推計では、今後10年ごとに85歳以上の人口の伸び率は倍々で増加するとの予測があります。実際、国の介護保険コストも10兆円を超え、さらに今後、生産人口の減少による介護人口のマンパワー不足も重なって、このままでは早晩現在行われている介護保険制度の崩壊は必至と思われます。従って、介護コスト削減のためには、要介護状態の予防が不可欠で、この“介護予防”への取り組みが、今後国と地方自治体にとり間違いなく最重要課題のひとつになります。一人でも多くの方が健康長寿を達成されれば、それだけ介護保険コストの削減につながります。極言すれば、国民が全て健康長寿を達成できれば、介護保険コストはゼロとなる筈で、これからの国の保健行政は“国民総健康長寿化”にあるといっても決して過言ではありません。では皆様、健康長寿の達成に欠かせない要素とは何だと思われますか?
意外なことに、“健康長寿の疫学調査”によれば健康長寿の達成には疾病の予防や管理よりも社会参加・運動・栄養などを通しての心身機能の維持と増進がより重要であることがわかっています。そして、高齢になるほど心身機能は疾病負荷の影響よりも老化による影響を強く受けるため、この理念から「心身・社会的機能を維持・増進する取り組みを通じての老化抑制(アンチエィジング)を図る」という介護予防の戦略が生まれました。このため、国では2006年より地域支援事業が開始され、在宅療養支援診療所などの創設や、昨年4月からは高齢者の自立支援を主目的とした地域包括ケアシステムが発足いたしました。そして、これらのシステムを駆使したアンチエィジングの推進により高齢者の健康長寿の達成率を高め、自治体の介護に関するコストパーフォーマンスを改善させて介護保険の破綻を防ごうとする所に国の意図はあります。
では、健康長寿の三本柱である社会参加、適切な運動と栄養摂取を高齢者に実践して頂くには何が必要でしょうか? 先ず、社会参加にたいしては、個々の高齢者が継続して社会と接点を持つことができる設計図の作成に、ソーシャルワーカーの活動は欠かせません。そして、介護保険が制定された西暦2000年にソーシャルワーカーを育成する社会福祉学部を母体に本学は開学いたしました。
高齢者の継続した運動の励行には、身体運動機能に熟知したエクササイズの実践者ともいえる理学療法士の参加が不可欠です。理学療法士は健康長寿のもっとも重要な骨組みを築く専門職ともいえます。高齢者の地域における自立生活支援を目的に介護保険による地域包括支援センターが整備された2006年の翌年、リハビリテーションの専門職を育成する医療健康学部が本学に設けられました。さらにこの4月よりリハビリテーション研究に特化した大学院も本学に新設され、地域におけるリハビリテーションの拠点となるべく、現在鋭意準備を進めております。
さらに高齢者の自立支援には、健康面でのきめ細かいケアーやアンチエィジングの教育とその実践が不可欠です。そのためには看護職のサポートが欠かせません。特に後期高齢者には、24時間体制での様々な支援が必要となります。看護職は司令塔としてこれらのニーズを的確に把握、コーディネートして高齢者を健康長寿に導く欠かすことのできない存在といっても過言ではありません。これらのケアーが高齢者の日常生活圏内で包括的かつ継続して提供される“地域包括ケアシステム”が昨年4月に制度化されました。この、国の流れに沿う形で本年度から本学にも看護学部が新設され、実践に即した医療のリーダー的役割を担う看護職の育成を目指しております。
以上、お話しさせていただきましたように、本金城大学は健康長寿(アンチエィジング)の実践に特化した専門職の養成大学とお考えいただいてもよいと思います。新入生の皆様には、将来それぞれの専門性を充分に生かされて、先ずは皆様ご自身とご家族の健康長寿を是非達成して戴きたいと思います。更に願わくは白山市およびその周辺を皆様の努力で日本一の健康長寿地域にしていただけたらと切に願っております。
勿論、この他にも4年後には多彩な活躍の場が皆様を待っています。“初心、忘るべからず”の謙虚な気持ちを保ちつつ勉学に励まれ、4年間のキャンパス生活を大いに楽しまれることを祈念して私の入学に際しての式辞とさせていただきます。
皆様、本日は御入学、誠におめでとうございます。