NEWS 平成30年度 第13回保健・医療・福祉創造フォーラム
「いのち輝く共生社会の実現をめざして」報告

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平成30年度 第13回保健・医療・福祉創造フォーラム
「いのち輝く共生社会の実現をめざして」報告

北國新聞社と共催する「保健・医療・福祉創造フォーラム」も13回目を迎え、「いのち輝く共生社会の実現をめざして」をテーマに、講演会とシンポジウムが行われました。当日は本学の医療健康学部学部長補佐・教授の木林勉が司会を務め、手話によるサポートも実施。来場者にとって大変有意義なフォーラムとなりました。フォーラムの様子を抜粋してここにご報告させていただきます。

日時 平成30年11月24日(土)13:00~16:20
会場 金城大学 社会福祉学部棟 110大講義室
スケジュール 13:00 開式 大会長挨拶
13:05~13:15 来賓挨拶
13:15~14:30 講演
■テーマ
「目標達成のプロセス5つの提言」
(サッカー女子日本代表を世界一に導いた佐々木則夫前監督のコーチング論)
■講演者
十文字学園女子大学副学長(サッカー日本女子代表前監督)
佐々木 則夫氏
14:45~16:15 シンポジウム
■テーマ
「こころとからだの活性化と運動・スポーツ」
~あなたらしく生き生きと暮らすために~
16:15~16:20 閉式 副大会長挨拶

 

大会長の挨拶

第13回大会長 金城大学学長 前島 伸一郎

本日はお集まりいただきありがとうございます。今年で北國新聞社との共催による保健・医療・福祉創造フォーラムも13回目を迎えることができました。開催にあたり白山市、石川県健康福祉部からもご臨席を賜り誠にありがとうございます。今回のフォーラムでは「いのち輝く共生社会の実現をめざして」をテーマに高齢化社会を生き生きと暮らしていくコツをお話しいただきます。
今年は、2011年にFIFA女子ワールドカップドイツ大会において、なでしこジャパンの監督として世界一に輝いた佐々木則夫さんに講演していただけるということで非常に楽しみにしております。シンポジウムではスポーツあるいは健康事業に携わる3人のシンポジストによる熱い議論、討論を行います。本フォーラムを通し、地域と密接な健康社会を構築できることを願い、私の挨拶にかえさせていただきます。

金城大学学長 前島 伸一郎

 

来賓祝辞

石川県健康福祉部部長 片岡 穣氏
(石川県健康福祉部次長 菊地 修一氏 代読)

石川県健康福祉部部長の祝辞を代読させていただきます。第13回を迎えたフォーラム開催を心からお喜び申し上げます。また尽力された関係者の皆さまに心から敬意を表しますとともに、本県の健康福祉行政の推進に格別のご理解とご協力を賜っておりますことに改めて感謝申し上げます。近年は高齢化の進展に伴い、介護を要する高齢者や認知症の方が増加する傾向にあり、社会環境や食生活の変化により生活習慣病も増加しています。県では、県立中央病院を拠点としたドクターヘリの運行、また、団塊世代の方が後期高齢者となられる2025年を見据え、高齢者の皆さまが住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、地域医療包括ケアシステムの構築に向けた取り組みを進めております。一方、健康寿命の延伸のため、企業による健康経営の取り組みへの支援、働く世代の健康づくりへの支援、身体にやさしい、いしかわヘルシー&デリシャスメニューの普及を進めております。本日、多くの人材を輩出されている金城大学においてフォーラムが開催されることは、本県の地域福祉の向上に大きく寄与するものと期待しております。このフォーラムが実り多い時間になりますことを祈念いたしますとともに、金城大学のますますのご発展と皆さまのご健勝、ご活躍を心より祈念申し上げまして祝辞とさせていただきます。

石川県健康福祉部次長 菊地 修一氏

 
白山市長 山田 憲昭氏

皆さん、こんにちは。白山市長の山田憲昭です。日ごろより金城大学の皆さんが地域に溶け込んでいただいていることを喜んでおります。大学の知恵と学生のパワー、そういったものが白山市に寄与しておりますことに感謝しております。
白山市では、第2次白山市総合計画のなかで、健康で笑顔あふれる元気都市白山市を掲げ、人も、地域社会も、企業も、みんなが健康になることを、オール白山体制でできないかと考えております。
私自身も100歳になっても健康でありたいと思っており、健康都市をつくる上でもこういったフォーラムを通じてしっかりと勉強したいと思っております。高齢化社会にあっても、元気でいれば恐れることはありません。市民一人ひとりの健康はもちろん、互いに共生しながら地域社会に貢献する精神を持つことが健康につながると思っております。今日の「いのち輝く共生社会の実現をめざして」というテーマはまさしく白山市の思いと一致しております。フォーラムの開催に対し、金城大学の皆さまには感謝を申し上げ、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございます。

白山市長 山田 憲昭氏

 

講演

目標達成のプロセス5つの提言
サッカー女子日本代表を世界一に導いた佐々木則夫前監督のコーチング論

講演者:十文字学園女子大学副学長(サッカー日本女子代表前監督)
    佐々木 則夫氏

<プロフィール>
1958年山形生まれ。現役引退後、NTT関東サッカー部や大宮アルディージャでコーチ・監督を歴任。2007年にサッカー日本女子代表監督就任、2011年にFIFA女子ワールドカップドイツ大会でチームを日本サッカー界初の世界一へ導く。その後もロンドンオリンピック銀メダル、女子ワールドカップカナダ大会準優勝と輝かしい成績をおさめる。現在は十文字学園女子大学副学長、日本サッカー協会(JFA)理事などを務める。

■講演概要

佐々木氏が約10年間の指導経験のなかで、サッカー日本女子代表を世界一に導くために自身が実行されてきたことや信念、座右の銘にいたるまでを熱く語っていただきました。目標を達成するために、自分たちのウィークポイントを強みへと変えることで勝利をつかみ取った戦術や、ピッチ内外での心の持ち方など、舞台裏の秘話を織り交ぜた興味深い内容に、聴衆は熱心に耳を傾けていました。

 

 

シンポジウム

こころとからだの活性化と運動・スポーツ~あなたらしく生き生きと暮らすために~

●コーディネーター
金城大学医療健康学部教授 永井 将太 

●シンポジスト

白山市体育協会会長 黒島 秀介氏
石川県内の小中高校にて教員をつとめるとともに、各年代のバスケットボールを指導。白山市地域振興公社理事、白山市体育協会会長。現在は、バスケットボールはもとより、多くのスポーツ文化を広める活動を行う。

■「協力」することは「強力」になる

白山市では「健康で笑顔あふれる元気都市 白山市」を推進し、体育協会では、「する」「見る」「支える」「調べる」のスポーツ文化の環境づくりを目標にしています。健康白山・元気白山・スポーツ白山を実現するために、ソフト・ハードの整備を行い、楽しくスポーツができる環境を目指し、約50の競技団体を支援しています。大会に出場している選手たちはオリンピックを目指しており、実現のためには競技に応じた基礎基本が最も大切です。選手たちは礼儀正しく、支えてくれた人への感謝の気持ちをもって競技に打ち込んでいます。
私はバスケットボールを通じて若者を支援をする一方で、高齢者体操クラブへ体育協会の職員を派遣したり、市とともに「ふるさと白山体操」の普及にも努めています。地域活動では高齢者コミュニケーションクラブを立ち上げて認知防止を兼ねた活動をしています。その活動のなかで、しばしば「協力」は「強力」になると実感できることがあります。
私たちは、2020年の東京オリンピックに向けてスポーツを続けられる環境づくりや、選手の心のケア、仲間づくりにも着手し、市民が健康で明るい生活ができることを願っています。

白山市体育協会会長 黒島 秀介氏

 

遊学館高等学校 バトントワリング部コーチ 島田 久仁子
小学校6年生からバドンを習い、高校はバトン強豪校のPL学園高等学校に進学。日本一のバトンチームの一員として貢献する。その後、現職に就任し、遊学館高校のバドン部を夏冬合わせて9回日本一へと導く。

■自分で考え行動する力

遊学館高等学校バトントワリング部のコーチとして日本一を果たしましたが、それまでの20年間は全国大会へ行っても結果が残せず、泣きながら帰ってくることの繰り返しでした。それが変わったのは、ある時、私が指導した演技は生徒の実力に合っていないと外部の方に指摘いただいたことでした。それまでの作品は、私自身がやりたいこと、私の価値観を中心に指導していたこと、子どもたち自身を見ていなかったことに気づき、改めたところ、一気に2位という好成績につながりました。ただ、その時はうれしさよりもこれまで卒業していった生徒たちへの申し訳なさでいっぱいでした。 日々の指導では、常に話し合いながら活動し、部員たちが自分で考え行動できるように導くことを意識しています。時にはそれが遠回りになることもありますが、自ら考え、行動することが、次のステップへとつながるからです。
生徒には、怖がらずに挑戦し、自ら考えて行動できる自主性を身につけてほしいと願っています。私自身未熟な指導者ですが、これからも子どもたちとともに考え、話し合い、成長していきたいと思っています。

遊学館高等学校 バトントワリング部コーチ 島田 久仁子

 

金城大学医療健康学部教授 佐々木 賢太郎

「こころとからだの活性化と運動・スポーツ」をテーマに、3人のシンポジストが登壇。今、私たちが置かれている高齢化社会では、健康寿命に注目が集まっており、運動やスポーツはその延伸に大きな役割を果たします。そういった背景も踏まえ、シンポジストによる発表とディスカッションが行われました。

■-「ロコモ」予防のための運動・活動-

今回はロコモをキーワードにお話しをさせていただきます。今年も総務省から報告された日本の高齢化率は28.1%と過去最多を更新しました。高齢者にとって介護が必要となる原因の上位は認知症や脳卒中です。しかし、身の回りのことに支援が必要な要支援に限定すると、関節疾患や骨折・転倒などの運動器疾患が上位を独占しています。
運動器が障がいされることで、立つ・歩くといった移動能力が低下した状態を「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」といい、進行すると介護が必要となります。ロコモにより、身体不活動 → 転倒・骨折(要支援)→ 認知機能低下(要介護)という悪循環に陥る可能性もあります。認知症発症の要因を研究した結果においても、運動不足があげられているように、ロコモにならないための対策が必要です。
そこで私たちはゼミの学生と白山市の地域ふれあいサロンに出向き、検査やその評価を行うことで、ロコモの予防や是正を目的とした活動などを行っています。こうした私たちの活動が、学生が地域の方々とふれあう機会になると同時に、多くの人が生き生きと暮らせる地域共生社会づくりにつながることを願い、これからも取り組んでいきます。

金城大学医療健康学部教授 佐々木 賢太郎

 

シンポジストからの提言の後、コーディネーターとのディスカッションや参加者からの質疑応答の時間も設けられ、最後に大きな拍手でシンポジウムは幕を閉じました。

金城大学医療健康学部教授 永井 将太

 

 

閉会の挨拶

フォーラム副大会長 金城大学副学長  加納 宏志

今回のフォーラムはスポーツをテーマに開催してまいりました。地域におけるスポーツへの支援には2つの視点があると思います。ひとつは若者への支援です。東京オリンピックの影響で子どもたちの間にスポーツ熱が高まると予想されますが、それにどう支援できるかを考え、受けとめるための準備が必要です。
もうひとつは超高齢化社会において、高齢者に対する健康維持を目的としたスポーツ支援です。若者と高齢者、それぞれの視点で開催された今回のフォーラムが皆さまのお役にたてれば幸いに存じます。本日はありがとうございました。

金城大学副学長 加納 宏志