10月27日、北國新聞会館にて、北國健康生きがい支援事業 平成30年度第1回金城大学プログラムが開催され、社会福祉学部教授・田中 克恵(たなか かつえ)が「よりよい最期を迎えるために」と題する講演を行いました。 |
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日時:平成30年10月27日(土)13:30~15:00(開場13:00) 会場:北國新聞20階ホール(金沢市南町2-1・北國新聞会館) 講師:田中 克恵(金城大学社会福祉学部教授) テーマ:よりよい最期を迎えるために ―ご本人・ご家族にできること―
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人は誰でも必ず死を迎えます。多くの人は安らかに最期を迎えたいと願っているのではないでしょうか。多死の時代を迎えようとしている今、よりよい最期を迎えるために、最期までの時をどこでどのように過ごしたいのか、私たち一人一人考えることが求められています。 |
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1.最期を過ごす場所の特徴と違い実際に最期を過ごしている場として、病院や高齢者施設、サービス付高齢者住宅、ご自宅などがあります。病院では、医師や看護師が常駐しているため手厚い医療を受けることができますが、療養生活に制約をうける場合もあります。高齢者施設では、手厚い介護を受けることができますが、手厚い医療を受けることが難しい場合もあります。ご自宅では、住み慣れた場所で親しい人と過ごすことができますが、家族の介護力や地域の医療・福祉サービスなどの違いにより、手厚い医療・介護を受けることが難しい場合もあります。
2.死に至る経過がん、心臓・肺・肝臓などの臓器不全、老衰・認知症など、患っている病気や加齢によって、亡くなるまでの身体の機能や生活機能に違いがあります。
3.看取りに関する意思決定最期を過ごす場所を決めるうえで、ご本人の心身の状態、ご家族や支えてくれる人の存在、住宅や地域の環境、金銭面、利用できるサービスなどを考慮する必要があります。しかし、最も重要なのはご本人の希望や想いです。ご本人の希望や想いは年齢や病気に関係なく、それぞれ違います。ご自身の希望や想いをご家族に伝えておくこと、ご家族はそれを把握しておくことが必要です。
4.希望・想いを共有する方法ご本人が、ご自身の希望や想いを文書に記しておくことも一つの方法です。医療の選択について事前に意思表示する「リビング・ウィル」、死に備えて自身の希望を書き留めておく「エンディングノート」、遺言書などがあります。その他に、ご本人・ご家族が医療関係者などと一緒に今後の医療や介護について話し合う「アドバンス・ケア・プランニング」などの方法がありますが、何より、日頃から家族や親しい人、みんなで話し合うことが大切です。著名人が亡くなった時に流れるニュースなどをきっかけに話してみるのも一つです。
5.残された人の悲しみお別れのとき、ご家族や親しい人の悲しみは深いものですが、まずはご本人が安心して旅立てるように心を配ることが大切です。また、お葬式や四十九日、一周忌など、折に触れ、故人を偲び語り合うことは、悲しみをのりこえていくための重要な儀式といわれています。
おわりに「死」を考えるということは、同時に「生」を考えるということです。「よりよい最期」を迎えるために、今、この時を大切に生きてゆきましょう。 |