ビジネス実務学科では「食の商品化と流通」の授業において、フード業界の第一線で活躍されている6名の外部講師をお招きし、業界の仕組みやテキストには載っていない現場ならではのエピソードなどを伺う「流通業実務家講師講演」を行っています。
7月6日木曜日、第6回のご講演では、中田天狗産業株式会社取締役社長の中田二郎様から、食肉の流通や、肉質の格付けとその方法、牛の国籍や品種、国ごとの飼育方法の傾向など幅広く食肉の知識について教わりました。
まず、食肉業界の沿革と、食肉の分類、牛の飼育環境と流通について伺いました。食肉の分類では、店頭でよく目にする牛・豚・鶏の他に、馬、羊、山羊、兎、アヒル、七面鳥などが含まれ、鹿や熊、猪など野生動物の肉からは区別されるとのことでした。また、肥育のお話では、牛や豚は感染症を防ぐために、食肉として販売されるまで牛舎など衛生管理できる施設に隔離して育てられることを伺いました。さらに仕入れた肉を解体し、精肉して店頭に並べるまでの過程も現場の写真や動画を交えながらご説明頂きました。
次に、食肉の格付け基準についてお話しいただきました。現在の格付け方法は、肉質等級と歩留等級*の分割評価方式です。肉質は見る人で多少左右されるそうですが、歩留率は計算式で算出されるため、厳密に定まるとのことでした。
(*ぶどまりとうきゅう:牛一頭から得られる肉の割合を示したもので、生産性の指標)
また、牛の国籍と品種について伺いました。牛の国籍は「最も長く暮らした国」となるため、米国産の和牛や国産の海外品種なども存在しえます。続いて、品種については、国内外の品種とその生育環境の特徴を伺いました。国内の和牛については競走馬のように厳格な血統管理がなされており、出自が明確にわかるとのことでした。海外は土地が広く、牧草中心の放し飼いが多いそうです。味の好みもあって国内よりも赤身が多く育てられるのが一般的とのことでした。
最後に、銘柄牛として能登牛についてお話しいただきました。松阪牛や神戸牛などに代表される銘柄牛は、かつて地域別に飼育の腕を競っていたものを、観光資源として品質規格を設けたもので、能登牛は農耕動物として活用されていた牛を品種改良して作られたそうです。能登牛は1995年に認定制度が始まり、2018年度に年間1000頭の出荷を、昨年度は年間1300頭の出荷を達成しています。新幹線の開業によって需要が増え、生産数も徐々に増えているとのことでした。
学生のレポートには、牛の国籍や肉の格付けなど、目にしたことがある事柄の具体的な仕組みについて強く印象に残ったことが書かれていました。また、育てられた牛が店頭で牛肉として並ぶまでを学び、解体や精肉の職人技に感銘を受けた学生も見られました。