ビジネス実務学科では「食の商品化と流通」の授業において、フード業界の第一線で活躍されている6名の外部講師をお招きし、業界の仕組みやテキストには載っていない現場ならではのエピソードなどを伺う「流通業実務家講師講演」を行っています。
6月15日木曜日、第四回のご講演では、ダートコーヒー株式会社の代表取締役社長、水上慎太郎様から、コロナ禍での飲料業界と飲食店の動向や、フェアトレード、コーヒーの生産から販売までの過程について教わりました。
まず、コロナ禍が飲食業界に及ぼした影響と、そこから生じた新たなサービスについて伺いました。コロナ禍は飲食店の営業時間や売上を大きく減らし、商品を販売する各流通業にも大きな打撃を与えました。ダートコーヒーさんでも飲食店への販売が大きく減少したため、飲食店以外への販路を開拓すべく、消費者向けにサブスクリプションサービスを、コーヒー愛好者以外向けにノベルティグッズとしてのコーヒーパックをそれぞれ開発されたとのことでした。
次に、長年取り組まれてきたフェアトレードについて、コーヒーの流通体系も含めてお話しいただきました。コーヒーはコーヒーベルトと呼ばれる特定の地域でしか農作物として充分な量の実がなりません。その地域は主に途上国が多いため、教育など生活基盤が未整備のままとなっている地域も残っています。それらの国々でコーヒーの生産に従事する人々に高品質なコーヒー豆の生産を続けてもらうためには、彼らの生活基盤が整備できるような価格でコーヒー豆を買う必要があります。これは近年注目されるSDGs(持続可能な開発目標)で目指される17のゴールそれぞれに該当する目標とも結びついており、広範囲にわたる状況改善に効果が期待できます。ダートコーヒーさんでは、自治体単位でフェアトレードを推進するフェアトレードタウン認定取得を目指して、現在フェアトレードの啓発を進めているとのことでした。
学生のレポートには、コロナ禍での新規事業を模索する姿勢や、SDGsも含めたフェアトレード推進への関心が多く述べられていました。普段あまりコーヒーを口にしない学生からも、飲んでみたいとの感想が聞かれました。